●再び、世界大会へ!

そして、8年後、世界大会を観る事ができなかった親の悔しい思いを断ち切ってくれるかのように、息子は、ボウリングに励み、再び、世界大会出場の権利を得ました。4年ごとに開催される世界大会、今回初めて開催国は、アメリカではなく「アイルランド」でした。もう2度とこの機会を逃すわけにはいきません。最初の頃は、SO日本・東京も立ち上がったばかりでアスリートの人数も少なく、世界大会に出場希望者に選ばれる事は容易でしたが、この頃には、アスリートの人数も多くなり、世界大会に参加できるのは狭き門になっていました。話によれば、日本での評価だけでなく、アメリカ  ワシントンDCのSO国際本部にも、日頃の成果の記録が提出され、それによって許可が出るという話でした。大会期間中、アスリートのホームステイ体験はもちろんの事、今回の大会では、家族であるファミリーに対してもホームステイの体験ができる企画があるという事でした。それで、こんなチャンスは二度とないと思い、英語もできないのに申し込みました。そこから、泥縄式の英語の勉強が始まりました。日頃、仲良くさせて頂いているボランティアTさんのお嬢さんに英語の教師になって頂き英語の勉強が始まりました。ホームステイ先が決まるとホームステイ先とメールでのやりとりで情報交換をしました。仕事をしながら、英語の勉強、大会に出場する息子のための手続き、説明会など、忙しい日々が続きました。

日本選手団のバス(右側)に歓迎の旗を振るニューブリッジの人々
日本選手団のバス(右側)に歓迎の旗を振るニューブリッジの人々

2003年6月「第11回スペシャルオリンピックス夏季世界大会・ダブリン」日本選手団77名 参加:約160カ国・地域 世界大会はアイルランドで開催されました息子たちは一足先にボランティアさん達と出発し、開会式のホームスティを体験しています。

私達応援組は、後から出発しました。

私たちより一足先にボランティアコーチらと共に出発しアイルランドに向かった息子達アスリートは、ニューブリッジで4日間のホームスティ生活を楽しんでいました。いくら、コーチと一緒とは言え、障がい者2人がアイルランドの一般の家にホームステイできるとは、なんと心広いのでしょう!日本では考えられないことです。やはり、宗教的な土台ができているからなのでしょうか?息子は、出来事を話すことができなかったので、後から写真を見て、「ああ、こんなことも体験させてもらえたのだな~」と感謝の気持ちで一杯です。

アイルランド夏季世界大会開会式が行われる競技場は人、人で埋め尽くされていました。世界中から出場している選手とその応援に来たファミリー達と地元アイルランドの人々で一杯です。とはいうものの、国と国が競うわけではないので、国旗は掲げません。セレモニーは、アイルランドのアイリッシュダンスの素晴らしい踊り、ロックバンド「U2」の演奏の後、創始者ユニス・ケネディ・シュライバーさん、アイルランドの女性大統領(当時)、アーノルド・シュワルツネッカー氏、ネルソン・マンデラ氏、世界でも名だたる人々がお祝いの挨拶をします。オリンピックのセレモニーと寸分違わず、もう驚きの連続です。最後は、聖火点火、会場一杯に花開く花火とともに競技大会のスタートが切られました。華やかな開会式に感動し、小さい頃、手を離すこともできなく飛び出してしまうオオカミ少年のようだった息子の姿が走馬灯のようによみがえり、こんなにも落ち着いた息子の成長に胸が一杯でした。こんな立派な開会式を見させてくれた息子の成長に感謝の気持ちで一杯でした。

日本では、テレビでも取材してくれなかったのに、アイルランドでは、毎日、「スペシャルオリンピックス」の世界大会の様子が放映されていました。「スペシャルオリンピックス」の良さは、記録を競うのではなく、本人の「頑張る力」を表彰するのです。「スペシャルオリンピックス」をもっと知って欲しいと思いました。