7.必要な母親教育


幼稚園は、一般の子供と一緒に障がい児を受け入れているということから「母親教室」が開かれていました。【子供の教育に関する話】、【子供の発達とはどういうことなのか。健常の子供と障がいの子供の発達の違い。】また、著名人を招き、子育ての経験談など、母親全員に対して教育セミナーが行われました。

教育セミナーで、お母さん方に障がい児に対して理解を得たことにより、就園後に、お互いの家庭を往き来し、子供達を遊ばせながら、得意な料理を披露したり、子育て談義をしたり、自分も楽しく時間を過ごせることが出来た事により、気持ちにゆとりが持てるようになりました。

また、幼稚園では、子供達に「サッカー」をさせていたのですが、子供達の尻を叩くだけでなく、その大変さを母親達にも体験してもらい、子供理解につながるよう「母親のサッカー教室」が開かれました。私はもともと運動が苦手だったのですが、この「サッカー教室」により、初めてスポーツをやる楽しさ、爽快感を味わうと共に、日頃の悩みから解放する時間を持つことができました。

障がい児を育てる上で大切なのは、親も精神的に安定するという事です。子供に接する時「ゆとり」を持って接する事ができ、「待つ」という事ができるようになるのです。

デイケア時代、障がい児を持つことで地獄に落ちていくような気分だったのが、気分がすごく明るくなり、お母さん方が分け隔てなく障がいの我が子を受け入れてくれることにより、このような子供だって世の中に必要な一員なのだという考えに変わり、小さくならず、子供がおかしな行動をとっても普通に言葉をかけ卑屈にならずに外に連れ出すことができました。どんな場面でも堂々とした態度をとれるようになりました。

 

幼稚園で私が学んだのは、今まで我が子をマイナスイメージの特別な眼でしか見られませんでしたが、多くの子供と接し、子供の様子を観察し、お母さん方とお話しすることで、「健常な子にも我が子と似たような問題点を持っている子供もおり、我が子の場合は、それが顕著に表われているだけ」という事が理解できました。

子供を観る目も、健常の子供と比較し競う事なく、子供とお母さんの関わり方、子供の行動・反応を観察して、「子供ってこのように発達するのか」と、我が子の発達の参考に、また、我が子の欠けている部分がより明確になり、この部分の力をつけなければと勉強になりました。

母親も、自分の時間を作り、楽しむ事は子供の精神発達・成長にとって非常に重要な事だと思います。

 

教育セミナーで印象に残っている言葉。

○知的障害があっても「発達の芽」はあり、早いか遅いかの違いだけである。

 

○小さい時の自由度…

どの位遠くまで一人で遊びに行かせたか?

家の中の物を自由にいじらせたかといった事が、その後の子供の認知・知的発達と相関関係がある。

 

 

●我が子は我が子、比較しない

幼稚園で、いろんな子を観ながら小学校への進学の事を考えると言葉の無いこと、課題が出来ないだらけで発達の差が気になり、気分が落ち込む時もありましたが、K先生の教え「まわりはどうであれ、我が子は我が子、比較しない」の教えを守り抜くことに努力しました。この頃は、「比較しない」「健常児」と自分に言い聞かせ、否定的考え、自分を変えようという気持ちでいっぱいでした。その努力の甲斐があり、今では息子に対し、自然体で話すことができています。