8.「遊べる」ことの大切さ


幼稚園の園長先生に、子供は、「遊びから発達をする」と教えを受け、このような事をやると良いと指導して頂きました。

健常の子供だったら、次にあげることは、当たり前に子供から要求され、自然と遊び相手になれることができるのですが、知的障がいがあり、自閉的傾向の子供は、人のやっていることに興味を示さず、自分からアプローチすることもできなく、「遊ぶ」ことができないのです。

「遊ぶ」ことができるようになるには、大人が「遊び」が楽しいことを教え、「真似」ができるようになることが必要です。色々なことを体験させて、世界を広げていかなければならないのです。

この「遊ぶ」ということが難しく、最初は、無視され、私の一人芝居状態でしたが、毎日、続けました。

現在、色々な趣味を持ち、余暇の時間を過ごせるということは、この時期の経験があったからこその成長だと思っています。

 

1 毎晩、同じ絵本の読み聞かせ(同じ言葉の繰り返しが良い)

例:「大きなかぶ」「こぐまちゃん」など

 カセットテープに母親の歌や詠み聞かせを録音して毎晩聞かせる。

 雑誌の付録の工作で「電話・自動車」を作ってあげる。

(興味のあるものを作ってあげる)

 人形を買い与え、人形遊びをする。

 

5 口先の動き、息を吐く、吸うの訓練するためシャボン玉遊び

 

6 指先の訓練にあやとり(ほうきの作り方を教える。)

 

7 新聞で紙鉄砲を折り、遊んでやる。(音が出る楽しみを味わう。)

8 ハサミを使えるように、ハサミを与え、七夕飾りなどを切って作る。

 (自閉症特有の能力だと思いますが、数字やキャタピラーなど下書き無しで切って遊ぶようになりました。)

9 ノコギリ、金づちを使っての工作

怪我をしても、自分で身を持って危険から身を守る術を得とくし、注意力を養う。

(幼稚園では皆で園児が乗れる電車を作りました。)

(家庭でも板にくぎを打ったりして遊びました。)

10 編み物をする

指先や物を見る集中力の訓練となります。

幼稚園で全員で、棒針を使い、メリヤス編みでマフラーを編みました。同じ手の動きを続ける作業なので、園児にも出来ます。

11 お手伝いをさせる

例:玄関をほうきで掃く

ゴミを見て、ほうきで、目的の場所に向かって掃くには、注意力が必要です。

 

窓ふきやテーブルを拭かせる

窓ふきやテーブル拭きも同じように汚れを見て、きれいにするという注意力が必要です。力の入れ具合、コントロールがうまくいくようになります。

 

例:お茶碗・お皿を出す。(言葉と数の勉強のために)

棚の左右、上下の位置関係、いくつ出すと言う数の理解につながりました。

 

「手伝いをさせる」という事はあらゆることが、「言葉と行動の一致」につながり、言っている意味を理解したり、指示に従うことや、注意力を養ったり、目的の達成感を味わったり、自信につながったり、とても大切な体験となりました。

 これらをやらせることは、相当、親の根気力を必要としましたが、幼少の頃から、手先を使うことや、指示に従うこと、注意して物を見る力を養った結果、就職につなげる事が出来たと思います。園長先生のアドバイスを実践してこられたのも、

知的障がいを持っていても「発達の芽」を持っており、その発達段階は健常児と同じで、発達が早いか遅いかの違いだけである。という言葉が支えとなり、子供の発達段階を踏まえ、まずは、「遊べるようになる」ことが大事と考え、一段一段と欠けている部分を確実に力をつけて、教育してきたことが、本人の力となったと思います。