●K先生との出会い

「自閉的傾向」という診断がついてはいたもの、言葉が出ない為、言葉の遅れは、耳が聞こえないのではないか?と疑いを持たれ、一度、聾唖学校に検査に行くよう周りの人から勧められました。検査に行き待ち続けていましたが、誰も来ません。1時間ほどしてやっと先生とお会いしましたが、すでに私達一団は、マジックミラーで1時間ほどずっと観察されていました。そして、聴力検査をする事無く、K先生から自閉症の子供の特徴が書かれた一冊の薄い本を渡され、「これを読んでください。」そして、先生は聾唖学校の生徒の親でもない私に、「悩みや相談ごとがあったら、いつでも電話して来なさい」と温かい言葉をかけてくださいました。狐につままれたような気持ちで家に帰り、その本を読むと、息子と同じような症状が沢山書かれていました。やっと、「自閉的傾向」とはこのような子供の事を言うのかという事が理解できました。

 K先生は、マジックミラーで観察して聴力の問題でないことを見抜いたのです。K先生は、ご自身も聾のお子さんをお持ちでした。ご自身の豊富な体験から、色々アドバイスしてくださいました

K先生との出会いにより、母親として心の安定を保つことができるようになりました。

子供への接し方、遊び方については、電話で伝えてくれるだけでなく、遠路はるばるわざわざ私達の家まで訪れ、遊び方の手本を見せて指導してくださいました。

この経験を通して、今、私は先輩のお母さん方のフォローが如何に大切かを感じ、若いお母さん方に自分の経験を伝えたいと思っています。

 

●特別扱いせず、普通に言葉かけを行う

人間には、「言葉」があるということさえ理解していないため「躾」ができませんでした

公園で見ず知らずの人達が食事をしていました。あっと言う間に走って行ったかと思うと、その開いていたお弁当の中身の一つを口の中に入れてしまうような事もありました。言葉で説明しても言い聞かせても言葉がわからないから、やって「良いこと」「悪いこと」の区別がつかないのです。

兄弟の中で公平さにかける教育をしないためにも「良い事、悪い事」を教えなければならない。

無感動な宇宙人感覚のこの子を、良い事をしたら、褒められて「嬉しい」感動を。叱られたら「悲しい」思いを。「美しい」「楽しい」「悲しい」「さびしい」など心に響く感動を沢山感じる人間であって欲しい。人生だって多くの人の中で楽しんで生きていって欲しい。

それには、「特別扱いせずに、普通に育てる」ことが、大切なのではないか?と考えました。色んな体験・色んな思い経験させるメリハリのある普通の生活が、この子に重要なのではないかと考えました。

解ってもわからなくても、無視されている状態でも、きちんと説明し、いけない事はいけない。と説明していきました。