小学生であっても、幼児向けの基礎的な勉強から始めました。
1 点と点を線で繋ぐことから始め、
2 正しい「かな遣い」はどちらか?
3 絵カードを見て、それぞれの物の名前を記入する。
4 絵を見て挨拶言葉を書く、
5 身体のそれぞれがどんな働きをしているか?
6 誰が何をしているのか文章を書く
7 文章が書いてあってそれに主語を入れる
とりあえず、絵の書いてあるドリルを探しては、チャレンジさせて行きました。幼児向けであっても、難しいと思えるところは飛ばし、本人が「達成感」を味わえ、楽しいと思える事が大切です。
ドリルを行う事により、親には子供がどんなことが苦手なのかが理解でき、子供にとっては、親がどんなことを要求しているのか子供は理解していきます。
知的発達の遅れている自閉症児用の教材を作成する上で大事な事は、一つのある力をつけさせようとした時、目的のもの以外の関係ないものに目がいってしまわない様にシンプルな教材である事でした。
(この子らは、視野が狭い様です。)
この大事な事を頭に入れ教材を探すと、市販されているドリルでは、文章で説明し複雑すぎていたり、いらない模様が書かれていたりしていたので、ふさわしいものがありませんでした。絵が書いてある方がわかりやすいので、ドリルから、絵を切り抜き貼って作成しました。
○手作りドリルは、学校の授業内容に関係なく、年令に関係なく、子供の発達度合に合わせた生きていく為の必要な知識に絞りました。
1 社会性をつける為の知識
肉屋さん、パン屋さん、八百屋さんさんの違いがわかるか?お店屋さんに何が売られているか?
2 色の名前色の名前を教える。信号の色、意味の理解
3 物の名前、簡単な質問
① きょうは何月何日何曜日ですか?
② 何年生になりましたか?
③ 朝ご飯は何を食べましたか?
手作りノートを持たせ、授業中は席に座っていられるようなり、小学校の担任の先生が花丸をつけてくださり、本人も張り合いが出て来たようです。そのうち、先生が気づいた子供の成長の一言を連絡事項として書いてくれるようになりました。
家庭でも学校から帰ってきても、勉強を教えました。何を教えたら良いのか考えるのに頭は一杯でしたが、文章を理解させることだけは、6年間のうちに数えきれない程やったと思います。
普段の生活で話しかけることも言葉の理解につながったと思います。
気をつかったのは、必ず、褒めて「自信」を持たせ、チャレンジしようという気持ちにさせるよう「褒める」ことを多く心がけました。しかし、いつも至り尽せりの満たされた環境では無く、時には、わざと困らせたりさせて、自分の頭で考えさせたりすることも行いました。
○自閉症は「認知の障碍」で横のつながりができないので、実物と文字、発音と文字が同じであることを、色んなパターンで何度も行う。一つの事例だけで教えてしまうと、それに拘ってしまい、他の同じようなパターンが出てきても、同じ考え方であることが理解できないので、最初に教えるときから色々な方法で教えることが必要でした。
○文章として文字に表示されて、質問していることは何なのか?意味を考える訓練を行う。
私が、読んで、声として聞く文章と、書かれている文章が同じである事を理解させる。
○「どこ」「何」「ここ」「あれ」など抽象的な言葉は、わからないで済ませるのではなく、色んなパターンで質問して、見本回答を示して理解させていく。
○自分の体験した事を文字として表現する絵日記も毎日書かせました。
小学校1年生の頃描いた絵ですが、手足が鳥のように描かれており、人の身体も顔の目と口、鼻の位置関係がわかっていませんでした。文章は、もちろん、こちらがフォローしています。
勉強時間は、毎日続けますが、せいぜい30分が限度、それが終わると、児童館などに連れ出し、運動も並行して続けました。
数の勉強では、「こだわり」が邪魔をして、10までの数を理解するのに、6年間要しました。紙に書いての計算だけでなく、実物を使っての数の数え方、そして、それを紙に書いて声に出して言う。横の計算式、縦の計算式、そして実物を使っての計算式と教えました。縦の計算式がわかったと思い、次に横の計算式を教え、やっと横の計算式もわかったようなので、縦の計算式に戻ったら、また、わからなくなっていました。行きつ戻りつでした。おやつの時に、お菓子を数えたり、お菓子の1個2個だけでなく、お皿の枚数であったり、数え方にも色々ある事、物は違っても1+1=2の意味は同じであること。
お金の勉強もしました。いくらでしょう?
①10円玉1つと1円玉2つ 答え?
②1円玉5つと10円玉1つ 答え?
③10円玉7つと1円玉1つ 答え?
幼児向けの市販ドリルもやりましたが、順番通りにやるのではなく、子供の理解度に合わせ、子供の興味のあるところ、自信を持って出来るところのみ。説明を聞く力を育てることも必要なので、1対1で話しかけ、褒め称え、時にはおもちゃを使い、子供が楽しんでチャレンジできるよう工夫しました。(TOY工房どんぐりの「かずあそび」「なかまあつめ」の制作につながりました。)
発声はできなくても、黙読して、答えが正しくできていれば理解出来ていることを判断しました。そんなやりとりが6年間続きました。計算ができることより、質問内容がわかり実生活の中で買い物に行くことができ、お金を使えるようになることが大事です。
言葉が出るようになった時、質問をきちんと理解し、その答えを言えること、会話が成立することが目標です。数の概念を理解させるためにあらゆる方法で行い、何度も何度も行い、あまりの進歩の無さに6年生になった時、「ああ、これが限界かな?」と思って、中学生になった時は、勉強は一切教えなくなりました。
それが、中学1年の半ば頃、3桁の計算式を書いたノートを持ち帰って来ました。驚いて、先生に伺うと、本人が一人でやったと言うではありませんか。その時ほど、6年間勉強を教えて良かったと思いました。無駄ではなかったのです。知能が低いから出来ないのではないのです。力は持っているのです。
基礎をしっかり教えれば、自分で答えを導き出すことができるのです。
また、ドリルを沢山やった事が、質問に対してどう答えたら良いのか?受け答えの練習となり、質問にあった答えを言える現在の姿、会話ができる基礎になったと思います。
(※自閉症の中には、言葉を話すことが出来ても、自分の一方的な言葉だけを話し、会話にならない自閉症もいます。)
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