10.「睡眠」と「脳」の関係


「てんかん」発症

 5歳の後半、ある早朝5時頃、身体の左半分が、硬直状態になりました。後でわかりましたが『けいれん」でした。朝の5時頃は、一人笑い出した息子をやっと寝かしつけ私も眠りに入った時間です。虫の知らせか硬直が起きた時、眼が覚めたのです。15~16秒足らずだったと思いますが、すぐに硬直は治りましたが、発作は2日間続けて起こりました。すぐに治まったことから、私はこの出来事をさほど重要に考えず、病院に行く事など考えていなかったのですが、幼稚園のお友達の障がい児を持つお母さんに話すと病院で検査することを薦めてくれました。以前通っていたデイケアに併設されていた病院で検査を受けましたが、暴れるため脳波検査ができませんでした。お友達のお母さんが小児神経専門のクリニックを受診することを薦めてくださいました。

小児神経のS先生の初診を受け(のちに小児神経学で世界的権威ある著名な先生であることがわかりました。)、S先生の紹介で近くの大学病院でMRIを受けに行きました。その前に、睡眠薬を飲ませるのですが、眠くなると眠ることを拒み、暴れ、検査を受けることができません。一日目、閉院時間まで頑張りましたが諦め、翌日、また大学病院に伺い、やっと受ける事ができました。

それから数日後、S先生のクリニックで脳波検査を受けることになりました。ぐっすり眠っては検査にならないそうで、軽めの睡眠薬を飲ませるのですが、またしても眠くなると恐怖のためか眠ろうとしません。

眠らないため追加の睡眠薬を飲む羽目になり、結果的に3回飲みましたが、眠くなると、壁に自分から頭を打ち続けて、朦朧とした状態であばれ、検査ができません。またしても諦めて家に帰ることになりますが、5歳の子が唸り声をあげたり、暴れたり、酔っ払いのような状態なので、電車に乗って帰ることはできません。タクシーで帰ることになりました。その夜も睡眠不足の状態にして、翌日また病院に連れて行き、睡眠薬を飲ませ、やっと脳波検査を行うことができました。検査の結果『てんかん』だという事がわかりました。その後、年に1回脳波検査を行ってきましたが、その度に、眠ることを拒む息子に、親子共々奮闘する事が数年続きましたが、通い慣れた病院で、眠くなると待合室でなく、個室に入れて頂くことがことができたので、本人も安心して検査を受ける事ができるようになりました。

てんかん発症以来、薬(「テグレトール」)を飲んでいます。毎月1回病院に通う生活が始まりました。毎年1回脳波検査も行っています。目に見えての「てんかん」の発作は、5歳以来一度もありませんが、現在でも継続して通っているため月1回の病院通いは40年になります。S先生に35年間程お世話になりましたが、残念な事に、S先生が2014年にお亡くになり、現在は、S先生の右腕でおられ、S先生の意思を継続され開業されたNY先生にお世話になっております。

自閉症は、「てんかん」を発生する率が多いようで、知人の中でも、成人になって発生した人が何人かいます。箸を落としただけでも「てんかん」の発作の場合があるようで、気がつかないまま済んでしまっていて、大発作があって気づく人もいるようです。成人の自閉症者は、一度は病院で脳波検査してもらった方が良いと思います。

 

●「脳の発達」には、「睡眠」が大切!

「自閉症」と言うと、今まで、観察するだけの医師が多かった中で、S先生は、医学的立場から、どういうことをするのが「脳の発達」にとって良いのか診察に行くたびに指導して下さいました。

毎月伺うと必ず「診察」があり、這い這い」をさせてみたり、「足踏み」をさせてみたり、「目をつぶって自分の鼻に自分の人指し指を当てることが出来るか」「両手首を左右に回転させて」「ベロを左右に動かす」など、いろいろの動作をさせて、身体の動き具合から脳の発達具合を診察しているようでした。

これらは「神経学的診察」(注1)と言うそうです。初診で言われた事が、「睡眠が大切だから(注2)睡眠表をつけてください。」と、「睡眠表」の記録用紙を渡されました。

そして、睡眠を取らせるために、日中運動をさせて、ぐっすり眠るよう生活改善をしてくださいと課題を与えられました。