10.「学校の役割」「親の役割」


●学校選び

同じ系列の小学校は、園長先生から小学校になると「言葉が無いとコミュニケーションがとれず難しい」と言う理由で進学できませんでした。そこから、小学校探しが始まりました。

障碍児と健常児の統合教育を行っている学校、評判が良いという区立の学校、養護学校などの情報を教えて頂き、それら私立、区立含め78校ほど見学に行きました。普通学級にするか、特殊学級(現特別支援学級)にするかも迷いました。区立の場合、引っ越ししなければならないという問題も出てきます。さんざん悩んだ挙句、出した答えは、評判の良いと言われる学校でも、4月になったら先生が移動してしまう場合もある。学校や先生で息子の病気が治るわけではない。現在住んでいるところにこれからもずっと住み、地域に理解者を増やし、その中で育てていけば良いのではないかという答えを出しました。

歩いて通える地域の区立小学校は、特殊学級もありましたが、幼稚園で集団行動も取れるようになり、落ち着いてきたので、息子の様子を見ていると、「普通学級」の方が刺激を受けるのではないかと考え、校長先生と面談して、息子の様子を見ながら、特殊学級への移籍も考慮のうちに入れていることを伝え、とりあえず「普通学級」に在籍させて頂くようお願いしました。

7歳でも言葉は出ては消えの連続です。授業はもちろんついていけるとは思いません。第一、歩いて5分の距離にある学校でさえ一人で通えるとは思いませんでした。朝は、集団登校で近所のお兄さんが連れて行ってくれるのですが、一人で帰ってこられるとは思いませんでした。迎えに行こうと考えていたところ、担任の先生から「一人でやらせなさい。」と言われました。言葉に従い、意を決し家で待っていると、一人で帰ってくるではありませんか。その時ほど、子供は、親が思っている以上に力を持っているのだ。その力を親が摘み取ってはいけない。子供が力を発揮できるように環境やチャンスを与える事が親としての役割ではないかと考えました。

 

「学校の役割」・「親の役割」

小学1~2年生は、どうにか普通学級に居ることができましたが授業を抜け出し、学校中のトイレを見学していという話がクラスの子から伝わってきました。先生も自閉症の子供をどう扱って良いかわからず、それを許していたようです。れを聞き、私は、幼稚園でせっかく集団行動ができるようになったのに、このまま自由奔放では、今までの3年間の苦労が水の泡となってしまう・・・何とかしなければと思いました。

それで、先生のところに伺い、「あの子にとって学校は、集団生活を体験する場社会的ルールやマナーを学ぶための場所だと私は捉えています。普通の子がやっていけないことは同じように禁止してください」とお願いしました。また、先生から、意外なことを聞く羽目になりました。生徒全員配布のドリルも、「どうせ、できないから渡していません」と言うではありませんか。我が子だけそのような待遇になっていることに驚き、「言葉がなく、何もわかっていないようでいても自分だけ外されているということは、敏感に感じますから、皆と同じようにドリルを渡してください。」とお願いしました。「そして、これからは、授業中座っていられるように、私が、あの子専用のドリルを持たせますので授業中はそれをやらせてください。」とお願いしました。

普通学級は、集団生活を体験する場、社会的ルールやマナーを学ぶための場所と割り切り、

勉強は、親が一対一で教育していけば良い。という決意をしました。

●いじめられ「負けず嫌い」に

普通学級にいると、いじめにもあっていました。言葉がでないものだから、耳を引っ張られ、これだけ引っ張ったら「痛い!」と言うだろうと男の子たちから耳を引っ張られていたようです。それは、女の子達が報告してくれました。でも、普通学級にいる以上親はどうしようもありません。

本人が抵抗するか、逃げる力をつけるしかありません。あの子なりの苦労を重ね、精神的にも強くなったと思います。そんな経験もしたせいなのか、5~6年生になると、兄弟の間でファミコンゲームの取り合いで、兄弟喧嘩もできるほど負けず嫌いのところも出てきました。いじめられていた時、親が過保護に出て行ったら、いつでも親が助けてくれると考え、成長はなかったと思います。

その後、自分の納得にいかないような事があると、言葉で言い返せないので、椅子を床に叩きつけると言う事が何回かありました。しかし、人に物を投げるということは一回もありませんでした。その辺りは、私が鬼の形相で床であってもいけないことは「いけない」と叱ったからです。

いじめられ、「悔しい」と言う思いが、その後の勉強でも、生かされたと思います。親が先に先に安全レールを敷いていると成長はないと思います。

いじめられていても、帰宅すると毎日1対1の親子の勉強と遊びがあり、常に子供と向き合い、出来ると褒められ、自信を失うことが無かったからだと思います。

 

「通級」で個別指導

いじめにあっていた3年生の頃、同じ区内に「情緒障碍児学級」という通級制のクラスができた事を区の教育委員会から紹介されました。そのクラスは、区内の各小学校から、発達障碍の子供が、週2回通う事ができ、個別に指導してもらえます。そのクラスに通級することに決めました。通級出来たおかげで、いじめは無くなり、勉強はまったくついていけませんでしたが、6年間を無事、普通学級に在籍する事ができました。通級のクラスでは、1対1で勉強を指導してもらうことができ、机上の勉強だけでなく、「サツマイモ掘り」「小松菜取り」「大根掘り」など区内の農家さんの好意で、農業体験を体験することができ、土に触れなかった子が、泥だらけをいとわなくなり、瀬川先生の脳の発達に良いと言う「日光に当たる」こともでき、真っ黒に日焼けすることもできました。子供の足では通えない距離でしたので、息子を自転車の後ろに乗せ、6年生まで3年間通いました。